ARTIST
yagoh naohiko - ceramic
矢合 直彦 (陶芸家)
1959 東京生まれ
1988 東京芸術大学美術科油絵科専攻後、同大学院壁画研究室修了
1993 山梨県山中湖村にて陶器、壁画の制作を始める。
2001 あすなろ書房絵本「あめふりくまのこ」の絵を描く。
2003 横浜市市営マンション ベイサイド新山下の壁画を制作。
2004 2005 東京銀座「ギャラリー舫」にて個展。
2006 2008 京都「ギャラリーアートスペース東山」にて個展。
2007 銀座「ギャラリー銀座陶悦」、名古屋丸栄「ギャラリーエスパス」にて毎年個展。
2010 写実画壇会員。大阪「ギャラリー有楽」毎年個展。
2011 京都「大丸」。愛知県三好ギャラリー「Kei」
2012 1月調布「うつわ」、3月「銀座陶悦」、
4月上野の森美術館「写実画壇展」、銀座「セイコウドウギャラリー」(絵画)、
6月益子「ギャラリーM,s」、7月大阪「ギャラリー有楽」、
8月京都「大丸」、11月「銀座陶悦」、名古屋丸栄「ギャラリーエスパス」
独特の技法によって、小さな面の中に、繊細で細やかでいきいきとしたどうぶつたちの表情や今にも動き出しそうなしぐさや、
こちらをじっとみつめ今にもはなしかけてきそうな眼が描かれています。
カップや、器、オブジェ、絵画などの作品。
レンガやタイルのような街並みや自然の風景と動物たちの光景。それは壁画のようでもあり、
油絵のように塗り重ねされたり削られたりしている絵付け、そのタッチ、描写力、全体の構図、
によって独特の世界観が描きだされています。
矢合直彦さんの作品は、手びねりでつくられています。
下書きもほとんどなくいきなり制作していくそうです。
あらかじめ青など絵の具を混ぜて色々な色の化粧土をつくっておき、
まず赤土に白い化粧をかけて、下絵をつけ、
次に色の化粧土を塗り重ねていく。
その後素焼きし、細かいところを描いていくそうです。
釉をかけて、焼成。
基本は、朝鮮、李朝から来た伝統的な技法で、赤土に白い化粧を付ける、白くない土に白い土を載せて白く見せるという技法を基にしてますが、
そこから応用し矢合さんによって独自に生み出された特有な技法で作られています。
カップなど食器も内側は水漏れしないよう害のないは水処理をしてありますので最初のうちは水をはじきますが、使っていくうちに、なじんできて、土の貫入が出てきて味わいが深まってきます。
作品情報:
オンラインショップ→カテゴリー「WEB展覧会」→「森は生きているⅡ展」→「矢合直彦」※展覧会に出品された作品をご覧いただけます。閲覧専用
Exhibition info:
<exhibition achieved>過去の展覧会
2020年10月1日から開催のギャラリーマミカ・グループ企画展覧会「森は生きている展 -どうぶつたちのカーニバル-」に初参画。
矢合直彦さんは、東京芸術大学の美術科油絵科を専攻されました。
たまたま壁画専門の教授がいたことから、大学院で壁画研究室にはいり修了されたそうです。当時からイタリアへ渡航されたりしたのもあり、ヨーロッパの壁画や、イタリアのフレスコ画、ステンドグラス、モザイクなどにも興味があったそうです。
もともとは絵画から入った矢合さんですが、卒業後、陶芸に出会い、硬い陶器に描くことが壁画に近いのではと感じ、陶芸を始められたそうです。陶器の上に絵を描くことも、油絵と同じで、色や絵の具を重ねていくこと。陶芸は、特に陶芸家に師事し修行したり習うこともなく、全く独学で学ばれたそうです。
矢合さんの陶の作品は、例えば、カップ一つとっても、漫然と全体に絵付けが描かれ施されてるのではなく、
硬い陶器に描かれどこか壁画のようなタッチがあり、何回も化粧土を重ねて塗ったり、削ったり、緻密に描かれ、完結した一枚の絵画のような充実感があります。
それが矢合直彦さんの作品の特徴かもしれません。
どうぶつをモチーフにした作品を制作されていることから、「どうぶつがよほどおすきなんでしょうか」とおききすると、
「特にそれほどどうぶつ好きってわけでもありません。」とのこと。「ただ、小さいころから、いつもどうぶつがいる環境ではありました」
「どうぶつをモチーフにするきっかけになったのは「フクロウ」でした。それもたまたまでした。そこからだんだん「モチーフ」として、どうぶつがおもしろくなってきて、フクロウ以外にも猫、など色々つくるようになってきました。」
確かに、美しい色のブルーの夜の闇夜の中に、つぶらな瞳の目がひかっているフクロウの作品は、とても印象的です。モチーフとしてのフクロウとの出会いが、どうぶつ作品制作のきっかけになったのですね。どうぶつがもっている形、しぐさ、表情、目、、、モチーフとして、面白さが尽きないですね。
矢合さんの制作の上での一番の興味の対象は、「技法」だそうです。
制作に置いて触発される起因は、常に「技法」から。
動物を作品に写す制作ではなく、「こういう風に作ったら面白いのでは」と、モチーフを対象に、写真をみたりし、新しい技法を産み出していくとき、とてもワクワクするそうです。
モチーフをみて、そこから、やり方から入り、触発されてきて、技法を考えるのが好き。それが矢合さんの作品制作への意欲の原点のようです。同じ技法をずっと続けていると自分でマンネリ化して飽きてくる、のだそうです。
壁画研究室と出会い、その後キャンバスに描くより硬い陶器に描く方が壁画のようなタッチに近いと感じ陶芸へ。
たまたまモチーフ「フクロウ」に出会い、どうぶつをモチーフにし始める。
常に自分の興味を触発され追求しているのは「技法」。
「たまたま」「偶然」のように出会ってきたことに興味のおもむく方向に来たように見えて、無意識に惹かれていることに、出会っているのですね。しかしその間、常に手を動かし続けてきたのですね。
技法という尽きない興味、どうぶつというモチーフとして尽きないおもしろさ。大きな平面の壁画作品もあれば、小さな器もあり、動物たちの立体オブジェもとびだしてきます。
矢合直彦さんは多くの人を深く魅了する作品を、エネルギーや興味が尽きることなく、今日も制作し産み出していらっしゃいます。